昨日、外苑前のギャラリー360°に行ってきた。
コロナ禍の影響もあり、久々の展覧会が開催された。
2019年に逝去した小杉武久を偲ぶ展覧会が同年の夏に催された。
その時も見学しに行ったが、今回は3回忌を追悼する回顧展が開かれたので、駆けつけた。
残念ながら、追悼の意味を込めた資料集「KOSUGI 1992」は完売していた。
しかし、ゼラチンシルバープリントの展示や録音媒体などを堪能することができた。
ディレクターと1時間ばかり談笑した。
そこで、ローレンス・ウェイナーが12月2日に逝去したことを知った。
とても驚いた。
聞くところによると、ローレンス・ウェイナーはルイ・ヴィトンと契約し、
商品のデザインに取り入れられる段取りだったという。死の直前まで、ルイ・ヴィトンとやりとりしていたという話だった。
ルイ・ヴィトンとアーティストの協業は、古いところでは、村上隆や草間彌生のモノグラムが有名だが、ローレンス・ウェイナーが選ばれるとは思っていなかったので、これも驚きだった。
業界人の情報という話だった。
内密の世間話かと思ったが、ディレクターは「検索したら出てくるかもしれない」とアドバイスをくれたので、帰路の電車の中でスマホで検索すると、秋冬のコレクションに加わっていた。
誰が最初にやったから、誰が先鞭を付けたからという話は、いわゆるマウントを取る類のトピックスになりかねないので、書くのはやめようかと思ったが、
筆を執ることにした。
画像は、1999年にこのギャラリーで開催されローレンス・ウェイナーの展覧会のフライヤーだ。
ギャラリー360°は、一昨年まで、表参道の交差点そばのビル2階にあった。
一等地にも関わらず、比較的広い展示スペースがあった。
筆者も、同年のローレンス・ウェイナーの展覧会に行った。
同ギャラリーは1997年にもローレンス・ウェイナーの展覧会を開いているという。
しかし、当時、私はローレンス・ウェイナーの作品の価値が良く分からなかった。
記憶が確かならば、2000年代にも、展覧会もしくは展示会があったと思うが、
その時も私の身体に入り込んでくる「何か」は希薄だった。
一昨年、ギャラリーでローレンス・ウェイナーの古い年代のリトグラフが多数、取り扱われた。
この時、私は初めて、ローレンス・ウェイナーの作品を購入した。
きっと、20年経って初めて、その価値が分かったのだと思う。
昨年のことだと記憶している。
ギャラリーに、ローレンス・ウェイナーの顔の写真が額に入って飾られていた。
ディレクターに聞くと、「ローレンス・ウェイナー本人のサイン入りなので、カメラマンはプロではないはずだ。本来ならば、(サインを入れようとするならば)カメラマンのサインのはずだが」ということだった。
購入を決めて、訪廊した。
しかし、最早そこに写真はなかった。
ディレクターから訃報を聞いて、直ぐにそのことを思い出した。
「ギャラリー360°が日本で最初に取り上げて、市場を広げましたね。先鞭者だと思いますが」
ディレクターは、何も反応しなかった。
きっと、本当にローレンス・ウェイナーの作品を愛していたのだろう。