2018年に他のブログで書いたものを編集整理して掲載する。
Plus Agnes Varda & JR
chad mooreの写真。
いずれの写真も、2018年の9月まで長野県御代田町の旧メルシャン美術館跡地で行われていた写真展のものだ。写真展は、ストックフォト大手のアマナが運営しているIMAが、文化庁やオランダ大使館の助成を得て開いた。
2018の年の秋だったと記憶しているが、代官山のTSUTAYAで写真集の出版記念のサイン会があった。筆者は、agnis, bのギャラリーで開催された個展の方に行ってきた。
そこから遡ること2年前の2016年、文化カルチャーがテーマという話で受けたスタートアップ企業のライティングの仕事をしていた。
本邦最大手の映像会社と勤め先が契約しており、カメラマンと仕事をすることが何度かあった。といっても、スタートアップIT企業によくある、すべての業務進行はネット上だったので、当然、ディレクションがすべてネット上で行われ、電話でのコンタクトさえもNGだった。
こんなことは無視して、なんどもカメラマンに電話して、コミュニケーションを図った。こちらの意図を伝えるために。
各地方には、すぐれたフリーランスのプロカメラマンがおり、本当に良い写真を撮ってくれた。
経費削減のため、ライティング(lighting)は一切無しの条件だったが、光の出し方をうまくやってくれるように入念にリクエストすると、彼らなりの独自性を出して、味のある写真が出来上がってきたものだった。
ある日、撮影を終えたばかりのカメラマンから電話がかかってきた。
彼は30分以上、女性モデルを賞賛した。
「こんな勘の良いモデルに出会ったのは初めてだ」と何度も話したうえ、語り口が次第に熱を帯びてくる。
キャリアのあるカメラマンだったが、筆者もそれなりに歳を取っているので話半分に聞いていた。
しばらくしてから写真が納品された。
確かに良い写真だった。
美しいとか綺麗だとかいう問題ではなく、素直に良いと思った。100枚ほどの作品を眺めて選択する作業に入った。気付くと3時間が過ぎていた。
翌日、IMA(今回の写真フェスの主催)から、メールが入った。
前回の記事で写真を載せたchad mooreの師匠のRyan McGinley(ライアン・マッギンレー)が女性モデルを募集しているという告知だった。リンク先を開くと、HPの当該ページにたどり着いた。募集期限は、1週間後だった。
すぐにカメラマンに連絡を取り、リンク先を送って、件のモデルに応募してはどうかと話すよう依頼した。
先日のモデルは上昇志向が強く、「有名になりたい」と何度も言っていたそうだ。
1か月ほどして、カメラマンに連絡をしてみた。彼女は「心の準備ができていない」という理由で応募しなかったという。
私のメールに締め切り直前の応募告知が入ったのも運命だった。
モデルが断ったというのも運命だった。
ただ、彼女が採用されたかどうかは誰にも分からない。これも運命だと思う。
Massimo Vitali&谷尻誠
鈴木理策 Sansation 2009
セザンヌが描いたサン・ヴィクトワールが、浅間山と重なるように展示されていた。幼少のころから眺めていた浅間山が、こんな風に見えるとは思ってもみなかった。うまく撮れなかったけれども。