信濃の小諸には毎年のように行っている。
しかし、まだ町の端から端まで探索したわけではない。
そういう意味では未開の地と言えなくもない。
小諸は、浅間山の麓のなだらかな傾斜にある城下町。
お城が傾斜の最下方にあり、その上に城下町がある。これは日本で唯一と地元の人が言っている。
小諸城址の下にも集落があり、その辺りに温泉宿「中棚荘」がある。
中棚荘の一角に、立派な古民家を移築した和食処がある。
店名を「はりこし亭」と呼ぶ。
小説家の島崎藤村の作品「千曲川のスケッチ」の一節にある「ハリコシ」(まんじゅうの一種)から借りたらしい。
島崎藤村は、中棚荘からほど近いところに、小諸義塾という学校を創り、文筆活動とともに教育にも力を入れた。
聞くところによれば、「はりこし亭」と命名したのは、ギタリストの渡辺香津美氏だそうだ。
これには少なからず驚いた。渡辺氏は、毎年このはりこし亭でコンサートを開いているという。
筆者は渡辺香津美氏のファンだったため、その意外さに、驚きがなおさら大きかった。
渡辺香津美氏は今年でデビュー50年、もうすぐ68歳になるという。
昨年、都内から軽井沢に居を移したらしい。どれも自身のツイッター等の情報なので、間違いないと思う。
最初にライブで聞いたのが、筆者が18歳(渡辺香津美氏が30歳)の時だった。
友人のドラマー、ギタリストに誘われて偶然に観に行った。
圧倒されたのを覚えている。
出身のジャズはもとより、ロック、ブルース、プログレ、フラメンコ、クラシックギターと、どんなジャンルのものでも高い水準の演奏を披露する。
ラリー・コリエル、井野信義との勉強トリオ。
キング・クリムゾンの再現(コピーではない)を狙ったという、Spice of Life
(Bill Brudford、jeff Barlin)。
マイケル・ブレッカー、スライ&ダンバー等を擁した、MOBO。
Bunny Brunel 、Chad Wackermanとのトリオ、Kilowatt。
バカボン鈴木、金子飛鳥、ヤヒロトモヒロとのレゾナンスボックス。
山木秀夫とのsusi。
など数えきれないほどのユニットやバンドを組んで半世紀にわたり
活躍してきた。
と、ここで筆休み。
はりこし亭について書くつもりだったが、渡辺香津美氏の記事になってしまった。
いつだって脱線は楽しい。
本題に戻ると、お盆の前にはりこし亭を訪れた。
小諸城址はもう何度も行っているが、こんな近くにこんなに良い場所があったのか。
ランチの御膳は美味でした。