ジレッタント 彷徨と喜憂

物見遊山が好きです

小山敬三

紅浅間

 

 

 

小山敬三美術館の外観

 

カテゴリをアートにしちゃったんだけれど、小山敬三って「アート」の範囲なんだろうか、と考えたが、そもそもカテゴリーを芸術とやっちゃうと仰山なんだ。

 

まあ、それは置いといて。

 

紅浅間、いいよね。小山画伯の。

 

最初に見たのは、15年くらい前だったか、いやもっと前だったと思う。

 

その時は、いや~な感じがした。洋画なのに日本色を出しているところが、わざとらしく感じられたのだ。素人目には。金箔の使い方が日本画のようだしね。

 

ここらへんは、磯崎新武満徹たちが、白人やユダヤ人によるジャポニズム的な日本観に徹底して対抗していたことに近い感覚かもしれない。

 

でも、10数年前から毎年、長野の小諸市にある小山敬三美術館に通って見ているうちに、紅浅間など浅間シリーズが最高だと思うようになった。

 

金箔の使い方なんて、すごいよ!

 

胸が躍るんだ。毎年、美術館で見ていると。

 

ブルーズ・ド・ブルガリ

 

 

 

この絵は、愛娘(養女だったと思う)を描いた作品。肖像画はどれも品があって、とても西洋的だ。デッサン画を見ても、とてつもない力を感じる。

 

基本的には、パリで修行して、サロン・ドートンヌ入選たから、オーソドックスを旨とする王道の西洋画家だと思う。

 

でも、やはり浅間が良いんだよ。水墨画の素養もあるので(なんて偉そうに言う)、画伯は西洋画と日本画の融合を相当研究したはずだ。

 

でも、さらっと描いているように感じる。さりげないんだな。

 

これがすごい。

 

 

「紅浅間」の画像は、日動画廊のホームページからコピペした。日動画廊は、地下で画家を雇って贋作作っていたらしいけど、これは違うだろう。さすがに。

 

小諸の小山敬三美術館は、村野藤吾の設計。楚々とした、たたずまいで、趣があって好き。

ナイン

最近は、妻の趣味に合うような映画を借りてきては、見ている。

 

今見ているのは、ナイン。

 

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一人では、絶対に見ないような映画。

 

これ見るならば、もう一回「副王家の一族」を見たいし、「カチンの森」を途中で妻に遮られたので、カチンの森も見たい。

 

それは、ともかく。

 

これって、もろフェデリコ・フェリーニじゃないか!

 

妻は、フェリーニを知らないので、今度借りてきてみせよう。

 

インテルビスタやオーケストラリハーサルなんかを見れば、びっくりするよ。

 

もうひとつ、フェリーニじゃないかと思ったのが、「脳内ニューヨーク」の巨大撮影セットの場面。

 

あれも、フェリーニだよね。テオ・アンゲロプロスっぽいところもある。

 

ナインは、ショービズを混ぜ合わせて、普通のひとが見やすくしているのがミソ。

 

そう考えると、やっぱりフェリーニは偉大だ。

おことわり

「ミーハー」という言葉を、西洋の言語に翻訳するのに、いろいろあったみたいだ。

 

かつて来日中のブルーノ・タウト日光東照宮を見て、「キッチュ」と表現したため、反発した日本国内の勢力があったという。

 

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確かに、広辞苑などをみると、「キッチュ」の意味は、「いかもの」とされているため、ネガティブな表現がするよね。

 

でも、タウトが活躍した1930年代はともかく、現代では、「キッチュ」という言葉は、現代アートやファッションなどカルチャーの評論などに用いられており、100%マイナスイメージはないんだよ。

 

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「ミーハー」という言葉も、昔は「ミーちゃん、ハーちゃん」と言う差別的な用語だったけれど、今は違うよね。

 

すでに、使われていない言葉というか、死語に近い。

 

それでも、というかだからこそ「知的ミーハー」という言い回しをしたり、「音楽的にはミーハー」という風に使ったりする。これが本当のところだよ。

 

オレの中では、「ミーハー」=「オープンマインド」という意味なんだ。

 

例えば、武満徹は、フュージョンやロック、ポップス、民族音楽などのヘビーリスナーだったことは、ファンの間で知られていることだけど、オレから言わせると、その姿勢は、「ミーハー」だ。

 

武満徹=ミーハー。

 

要するにこういうこと。分かった?

Soren Hansen

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Soren HansenのCanada Chair。

Soren Hansenは、デンマークの世界的な家具メーカー、Fritz Hansenの元社長(1955年-1975年)。指物技術士の資格を持っている、職人的なデザイナーだった。

以上は、織田憲嗣著の「デンマークの椅子」(光琳社出版・初版)からの情報。

背がスポーク上のタイプは北欧のサイトでもよく見かけるけれど、なぜか値が手ごろ。評価が低いのかな?

ちなみに、この椅子は、1500デンマーククローネ。

はっきり言って、安すぎるよね。

デンマークの椅子」に載っていたのは(75P)、背がラミネートの一枚板で覆われていて、両側に支柱が通っている。なんでも、二人掛けもデザインされたそうで、10年くらいウエブで見つけているんだけれど、出てこない。

スキャンしようと思ったんだけど、本の綴代が傷んでいるのでパス。

このラミネート型を見て妄想をしているのだ。

今持っている、ArkaやSibboとの相性でいえば、ばっちり。

二人掛けならば、AXの3人掛けとも合いそう。

最近、メタルやプラスチックよりも、木の風合いに惹かれてしまう。

これは紛れもなく、オランダのショップサイトの影響かも。WonderWoodっていうショップは、木のプロダクトしか扱っていない。

WonderWood

ブックマークして10年くらいになるけれど、最初はピンとこなかった。けれど、今は旬だね。

木の椅子は、座っているとお尻が痛くなるという人もいる。でも、それは偏見だと思う。デザイナーは、すわり心地も計算しているしね。

Kitka design Toronto

Harri Koskinen

ブルーノ・タウト

一昨年だったか?

Yngve EkstromのArka chairを検索していたら、このブログを偶然発見した。

Kitka design Tronto

JohnとJuliの若い男女二人がやっているブログ。

毎日見ている。

北米の白人たちがどのように北欧デザインを見ているかは、大いに興味があるんだけれど、ショップのデコレーションではいまいち分からない。伝わってこない。

だけど、この二人のブログは、常にアンテナを立てて、センスが良い切り口で料理している。

趣味が良いって、こういうことを言うのだろうね。

日本のクリエイターとも交流があるらしく、今年の春に二人が日本旅行に来た直後は、滞在日記が日本のデザイン系のツイッターやブログでも取り上げられていたっけ。

恐らくネットワークがあるんだろうな。東京・国立市にある小泉誠のアトリエも訪問していたし。

小泉誠を取り上げる当たりは、渋いよね。

他に深澤直人のプロダクトも頻繁にスポット当てているけど、ヨーロッパじゃあ深澤直人は有名人だから。欧米文化圏では、親しみがあるはずだけど、小泉誠は極めて日本的だ。

最新のフィーチャーは、Harri Koskinen。

すごく、格好良い。Artek shopのデザイン。

ミニマルだが、温かみがある。奥行きが感じられるし。特に最後の階段をあしらった居間のデザインなんて、ブルーノ・タウトの旧日向別邸の内装に着想を得て、Aalto特有の有機的な円をアレンジしたような感じではないか!

Harri Koskinenは、熱いガラスで電球を覆ったランプや、プライウッドを使ったトランク型のスツールが有名だけど、インテリアも手掛けるんだね。やはり、フィンランド人だから、アアルトへのオマージュは格別だよ。

ユーミン再生プロジェクト

BS-hi「生誕200年 みんなのショパン

 

前の記事で、続けて書こうと思ったのだけれど、あの流れでは、さすがに顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまう。

 

でもやっぱり書きたい、ユーミンのこと。

 

 

 

 

番組中に、松任谷由実が録画インタビューで出ていて、ショパンの楽曲をキーボードを使ってアナリゼしていた。

 

インタビュー直後にスタジオが映されたのだが、すかさず、清水ミチコユーミンのマネをして、思いっきりおちょくっていた。

 

ユーミンの大ファンだし、清水ミチコの物真似も好き。

 

でも、聞くところによると、ユーミン清水ミチコと対面するのを嫌がっているという。

 

確かに、あのマネには、「悪意」を感じる。楽しいけど。

 

それはともかく、ユーミンは最近CDの売上が以前よりもよろしくないらしい。

 

年末商戦でCD売っていたころが頂点だったのか。

 

ここは、「ユーミン再生プロジェクト」と題したオペレーションを開始するしかないのでは、と思う。

 

マスを相手にしないで、音楽史に残るようなCDアルバムを作れば良い。

 

ユーミン再生プロジェクト要旨)

 

【音楽環境】

 

山に籠る。

 

売上やプロモーションのことは、全部忘れて、自然に身を委ねる。

 

そこで過ごして、自然に湧き出た力で曲を作る。

 

スケジュールなど気にせず、インスピレーションがあった時にだけ作る。

 

あとは、待つ。降りてくるのを。

 

降りてきたら、即座に録音する。

 

【ミュージシャン】

 

譜面はもちろん、即興に強い音楽家を同伴する。

 

ギター

 

ピアノ

 

ベース

 

ドラムス

 

ここらへんかな。

 

音楽が降りてきたら、すぐに絶対に対応できるようなミュージシャンたち。っているんですよ。

 

【パブリシティ】

 

ピアノをヘリコプターで山小屋まで運ぶ。

 

ピアノは、ハンブルグスタインウエイ? ニューヨークスタインウエイ?

 

これを実況中継するか、動画で録音してマスに流す⇒広告会社が喜ぶネタ⇒「ユーミンが山に籠って録音」⇒これも広告会社が喜ぶネタ

 

作曲や録音の画像は撮らない。これ鉄則。マスを意識してしまうから。

 

彼女の音楽的な才能だけを拠り所にして、制作は進むのである。

 

 

 

でも、だんな様の、正隆氏は怒るだろうな。アレンジする隙間がないからね。

 

というわけでボツか?

 

その前に、私ってそんな人脈あったの?

 

 

 

単なる妄想でした。

 

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山本貴志 児玉桃

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少し前のことになるけれど、10月31日に放送されたBS-Hiの「生誕200年 みんなのショパン」を途中から見た。

 

登場した、すべてのピアニストは素晴らしい演奏を聴かせてくれたけれど、私の中では、「ノクターン嬰ハ短調」を演奏した山本貴志が一番印象に残った。

 

魂が籠っている音だと思った。

 

私には、クラッシック音楽家の知識は大してないので、Wikiで調べたら

 

「第15回ショパン国際コンクールはインターネットにより初めて生中継されたことでも注目を集めた。山本の本選での協奏曲の演奏においては、最後の音が終わらない内に会場の聴衆から拍手が巻き起こり、演奏終了後スタンディングオベーションが長く続いたが、聴衆からこのような熱狂的な賞賛を受けたのはポーランド出身の優勝者ブレハッチと山本だけだった。」

 

とあった。

 

そうだったのか!

 

 

 

4~5年ほど前だったか、池辺晋一郎が司会をしていたころの「N響アワー」で、ピアノ協奏曲第1番第3楽章の録画演奏がかかった時があった。この時のピアニストは、ピアノの独奏に入るあの有名なメロディを弾く時に、休符がとても長く、むしろ弾いていない時間が多かった。

 

弾いていないピアノ。

私はその音の真髄を探ろうとして、夢中で聞き入った。

 

あとで、何人もの西洋人の音楽家の演奏をCDなどで確認したが、あんなに休符の長い演奏は皆無だった。事前の音あわせで指揮者の合意が得られたのか、オーケストラとの呼吸がずれることなく、滞りなく演奏が進んだ。

 

ピアニストは、児玉桃だった。

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彼女のことも知らなくて、あとでネットで調べたら、フランスでショパンを演奏したときに、熱狂的なスダンディングオベーションを受けたと書いてあった。

 

楽譜を確認したら、フェルマータの記号があった。しかし、ショパンの楽譜の種類は、いくつもある。演奏時、児玉桃の楽譜に、フェルマータがあったのか、休止符だったのかは永遠の謎だ。

 

それはともかく、クラッシックの専門家が聴くと、どんな風に感じるんだろうか?

ちなみに、映像が流れた後、池辺さんは無言だった。